教職員へ

 名古屋大学では、さまざまな障害を持った学生が学んでいます。全学生のうち約0.5%が障害があると分かっている学生です。
 アビリティ支援センターは障害を抱える学生を支える教職員に対しても、さまざまな支援を行なっています。

遠隔授業の実施について

 新型コロナウイルス感染症の対策として遠隔授業が実施され、先生方それぞれにご苦労のことと思います。特殊な授業形態の中で、これからどのような影響が出てくるのか、現段階では分からないところもあります。
 名古屋大学には80名程の障害学生がいますが、潜在的な障害学生数はそれよりももっと多いと考えられます。こうした学生に今後新たな問題が生じることは十分考えられることです。以下の資料は、そうした予想しうる問題の発生を抑え、あるいはあるいはそれに対応するための教材作成、授業実施の方法をご提案するものです。
 どの先生にもお読みいただいて、授業準備の参考にしていただけますと幸いです(PDFファイルはこのセクションの下部にあります)。
 ご質問などありましたら、いつでもお寄せください。
遠隔授業での配慮1
遠隔授業での配慮2
遠隔授業での配慮3
遠隔授業での配慮4
遠隔授業での配慮5
遠隔授業での配慮6
遠隔授業での配慮7
遠隔授業での配慮8
 これまでの修学上の支援では想定されてこなかった問題がこれから出てくることが考えられます。アビリティ支援センターとしては、学生との連絡を取りながら、支援体制を整えていきたいと考えておりますが、先生方におかれましても、問題が生じた際には、お気軽にご相談いただけますと、私たちにとっても助けになります。
 困難な状況ではありますが、より良い修学環境を整えることができるよう、貢献したいと考えております。
アビリティ支援センター(旧 障害学生支援室)
*リモートワークのためメールでのご連絡をお願いします。
 状況に応じて、ビデオ会議システムを使用した相談も行っています。

1.修学支援について

 修学支援とは、学生の大学での学びを支える活動全般を指しています。そのため、奨学金、履修登録の支援なども修学支援に含まれます。しかしながら、障害学生支援の文脈では、修学支援は主に合理的配慮の提供を指しています。
 合理的配慮とは、学生個々人の障害に沿った、かつ大学にとって物理的、経済的、人的に過剰な負担のない支援を提供するような調整のことを指しています。障害を本人の特性(たとえば足が不自由である)と環境の障壁(段差があって通りにくい)とに分けた時、後者の障壁を減らすことを意味しています。詳しくはこちらをご覧ください。
 修学支援は、学生本人の申請をもって協議が始まり、支援内容が決定されます。そのため、本人からの申請がなければ、大学から自発的にこれを提供することはありません。これは学生本人の意思決定を尊重するためのものです。もしも、学生が修学支援の申請をしていない場合に、支援が役立ちそうであれば、本人にそのように話をするか、それが難しいようであれば一度ご相談ください。

2.障害かな? と思ったら

 学生に障害があって、そのことが学修や研究を難しくしていることがあります。たとえば以下のようなことです。
身体の自由が利かないために、移動に困難があって、資料を調べたり、機材や機器を用いたりすることが難しい
認知的な機能に障害があって、そのために考えたり意見をまとめたりすることに困難があり、発言やレポート執筆、試験への回答を時間内に行なうなどが難しい
対人コミュニケーションの障害があって、人と一緒に何かをすることに困難があり、人間関係につまづきがあり、またグループでの活動や実習などが難しい
情緒的な混乱があるために、安定して能力を発揮することに困難があり、何につけ実力を発揮することが難しい
 こうした状態に対し、学生の活動水準の改善を図るとともに、障壁を減らすことが求められます(障害や代表的な支援については障害のこと支援メニューをご覧ください。その他役立つ情報へのリンクもあります)。学生の状態が障害にあたるのか、何かの問題があることは分かるけれどもハードルを下げるべきなのか、そもそもその学生にとって障壁とはどのようなものか、どのような対応が求められるのか、といったことについて判断に迷うことがあれば、早めにご相談ください。

3.誰が支援を提供するのか

 合理的配慮による支援の提供は、部局(学部や大学院)が主体になって行なうものとされています。これは、それぞれの領域で必要とされる専門性やその修得過程のうち、どれが維持されるべきもので、どれが障壁を減らすために変更することが可能なものかを判断することが出来るのは、それぞれの部局であると考えられるためです。
 また、実験の補助など、専門的な知識を用いて学生を支援する際には、同じ部局の他の学生が支援を行なうサポーターとなることが期待されます。そのようなサポーターの募集も、学生のことを良くご存知の部局にお願いをすることが一般的です。
 具体的にどのような支援を行なうかは、学生がどのような支援を必要とし、部局は何が出来るかのちょうど良いところを探る、調整の手続きによって決めることになります。専門的な言葉で、この過程は、「建設的対話」と呼ばれています。
 アビリティ支援センターはこれらの過程について、相談を受けたり、学生と部局の仲介を行なったり、障害に関する専門的知見から助言を行なったりする役割を担っています。また、部局外からのサポーターの派遣が必要になった際に、その手続きを取るのもアビリティ支援センターの役割です。

4.障害のある学生とのコミュニケーション

 障害のうち、特に発達障害は、しばしばその定義(もしくは診断基準)として、社会的コミュニケーションの障害を含んでいます。これは他者の意図や心情を推し量ること、文脈に沿った言葉の理解が出来ること、社会的に適切な言葉遣いが出来ること、視線、表情などの非言語的な手がかりを適切に理解し使うことが出来ること、などについての困難です。また、能力の部分的な低さが見られ、知的問題はないにもかかわらず口頭での指示が通らない、何をしたら良いかは分かっているのに身体が動かない、柔軟性がなく独りよがりな解釈やこだわりが見られる、といった問題が見られることがあります。
 こうした問題は、教職員と学生のコミュニケーションに2つの意味での困難をもたらします。1つは、障害そのものがコミュニケーションの問題を含むために意思伝達がうまくいかないという点で、もう1つはこうした特徴が教職員から見ると、他人を気にかけていない、自分勝手、やる気が見られない、努力をしない、などの人として望ましくない態度に見られるという点です。
 学生同士のトラブルに発展することもありますが、同じように教職員との間でもトラブルに発展することがあります。どのような対応が求められるのか、どのような対策が取れるのか、ということについてのご相談も受けていますので、問題を感じられた際には、大きくならないうちにお問い合わせください。

5.窓口

 アビリティ支援センターは学生支援本部の中の組織です。そのため相談や問い合わせの窓口は、学生支援本部の学生相談センター内、教育連携室という教職員専用窓口とアビリティ支援センターの2つがあります。
教育連携室窓口(初めての相談の場合にはまずこちらにご連絡ください)
アビリティ支援センター(継続的な相談、修学支援申請に関しては直接ご連絡ください)